夕闇に君の名を/ヴィリウ
に縛り付けて来た 狂おしい恋慕を
穏やかな秋の夕焼け ゆるやかに静かに 葬列は進む
一番後ろで 歌声は高く低く
只途切れずに 思いの丈を吐露し続ける
届いて欲しい
否 掻き消えて欲しい
相反する気持ちを 只戯言めいた唄に寄せて
誰もが知っていた
只一人だけ知らずに逝った
こんな弔い時に甘苦しい唄を謡う 咎めもせずの 柔らかな微苦笑
誰も彼もあさっての方を見て 甘ったるい告白にこぼす苦笑
されど修羅に成り果てて
ひとの心を捨てたとて
掌に刻むは己が名前
御前が此の先幾歳でも
おれを想つて泣けるやうに
愛し愛して重ねた夜を
御前が容易く思ひだせるやうに
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