彼方から/乱太郎
 
悲しい顔をした夜が明けて
昼間の日差しが
軽快に踊り始めようか
というのに

透明な涙が
胸の中で
溢れていた

だれにも見せたくない
それは
意固地な決心で
馬鹿みたい
かもしれないけど


桜の花びらとともに

そのひとのおもいは
もうつちのしたにうまってしまった

そのひとのこえは
もうそらからしかきこえてこない

でも

さよなら

は言わない

いつか
会えるのかも

いまでも
知らないところで
見つめているのかも
きっと

永遠の彼方から


だから
笑顔のままでいたい

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