呼吸/山中 烏流
 

私は
鳴ることは出来ない、と
知って
泣き声をあげようとも
何も、変わりはせずに
 
 
 全てを知って
 
 
朝靄に隠されたままの
乳白色の意識は
朝靄に守られて
呼吸を再開していく
 
透明と不透明が
限り無く澄みきっているのを
呼吸をした私に
また、確認する術など
ある筈もなく
 
 
 空気が鳴る
 水が鳴っている
 空が鳴いている
 私は、泣いている
 
 
世界に混ざりきれずに
呼吸を
 
呼吸を。
戻る   Point(9)