近代詩再読 八木重吉/岡部淳太郎
 
を みる

(「息を 殺せ」全行)}

 たったの四行しかない、何ともあっさりしたものである。ここではたったふたつのことしか語られていない。「息を ころせ」という命令形の言葉と、「あかんぼが 空を みる」という事実だけである。「息を」ころすことと「あかんぼが 空を みる」ということの間には、普通に考えれば関連性はない。このふたつの言葉の間には大きな隔たりがある。また、「息を ころせ」という命令形の言葉が誰に向かって語られているのかも、少し気になるところだ。おそらくこれは、作者が自分自身に語りかけているのだろう。さて、自らに向かっての「息を ころせ」という命令と「あかんぼが 空を みる」とい
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