石少義女末 -snuggly might- 〜溜池山王駅前外伝〜/人間
 
び散り太陽に焦がされて砂鉄になり
 地下から染み出す海洋深層水で湿る骨に砂鉄がまとわりつき
 地面から引き剥がされた影のように立ち上り
 黒い矢印になって地獄を指した>

深海には盲しか棲めない
砂漠には蛇蠍しか棲めない
重さは力も判断も奪い
引力は弱さと愚かさに付け込む

(でも人の命は重さではなく速さで計るんだろうそうじゃなきゃ不公平じゃないかあんまりだ)

妹は社会の底辺で脱水症状を起こしている
妹は手で砂を掘って地獄の中心で蟻と叫ぶ
妹は太陽と至近距離で自己を実現している
妹は<黒い鉄の骨が甘い砂の中に沈んでいった>

湿り気、
硬さ、音、
癖、声、味
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