石少義女末 -snuggly might- 〜溜池山王駅前外伝〜/人間
人の記憶は一日で砂になる
そして跡形も無く崩れた後は 命の不安定な支持地盤になる
(先月一昨日、引き篭もっていた妹を外に連れ出した溜池山王駅前の喫茶店に)
「紅茶好き。砂糖入れまくり」
<シュガーポットの砂漠をステンレス鋼の旋風で掻き回しながら紅いオアシスに注ぐ甘い砂で餓える舌が巧く乾いた>
流れるものは強い
そして連続体力学に則り
時代に定位置を持たない彼女は何者よりも強いと仮定される
「本命卦だとあたし乾だから、東がよくないんだよね、凶方位って言って」
(風水なんて当てになんのか確率と量子より舌と勘の方がよく当たるっていう民間信仰の摩訶不思議)
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