オニキス/チグトセ
ただの生活の中を
ただの生活だなんて言って
大して感動もせずにフラフラ生きてたら
ときどき前方不注意で
誰かの真摯な想いの背中にどしんとぶつかることがある
いい加減見かねた神様にマジビンタをくらわされたみたいに
目が覚めて
果てしない砂漠の極端を小一時間ほど
茫然と眺めた気分
いつも
泣けそうなもの、泣きたくなる気持ちの裏には
ひっそりとした木箱みたいな質感と存在があって
そして表には現実が圧倒的に存在していて、圧倒的すぎて
泣きたくなった気持ちはきゅうっと吸われて
もみ消されちまうから
いつも
なんだかよくわかんなくなった
目覚めをたずさえて
明くる日の玄
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