いのち/weed & sky
 
てられ未だに過保護なままなので、
こんな大人になったわけだが父も母も大好きなのだ。
実家に帰ってくるたびに小さくなっていく両親を見ると、
もうあと何回この優しい人たちに会えるのだろうかと、
そんなことばかり考えてしまう。
それでも何枚か写真を撮って、
携帯をポケットにしまい足もとを眺める。
リフトはかなりの速度で急な坂を登っていき、
私の足の下には雑草の花がたくさん咲いている。
うす紫色の花、黄色い花、とてもちいさな白い花。
草が風になびいていてアブが飛んで、
当たり前のことなのだが、
みんないのちがあるのだなあと思う。
そしてやがて死んでいくのだなあと思う。
でもみんな今を精いっぱい生きているのだなあと思う。
どんどん過ぎ去っていく私の足の下にいのちがあふれている。
リフトが頂上についてやっぱり母が降りるのにちょっと失敗して、
私はどうにかうまく降りて父と母のむこうにお花畑が見えて、
みかん食べるか?
母が笑ってそう言った。
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