鳥かご/土田
ののちゃんは、お酒をつくるのがすんごく下手で、とっても不器用なんだ。たとえば、飛べない鳥とかを朝五時半の公園で見つけた時、ののちゃんは何を思ったのかすぐさまののちゃんの店の近くのペットショップに鳥かごを買いに行って、その鳥をかごの中へ放って、家賃三万五千円の和室六畳風呂無しのぼくらのアパートに連れてきちゃったりするんだ。
連れてきちゃったのはまだ良いとしても、それっきりののちゃんは朝六時半の歯磨きも、そのあとのぺったんこの布団のなかでする今日一日の出来事の話も、そのあとでこっそりされるキスも、そのその後の今月は何とか十割をキープしているエッチも、ぼくが学校の昼休みに百円マックをほお張っている
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