捨てられたひと/小川 葉
 
捨てられた公園の
捨てられたベンチに座っている
捨てられたひと

捨てられた思い出の
捨てられた世界に生きている
捨てられたひと

かくれんぼの時
最後の最後までみつからなくて
ついには忘れ去られたような
捨てられたひと

捨てられたひとは
自分が捨てられたことに
気づかない

捨てられたひとは
私の分身

捨てられたひとは
今日も公園のベンチで
幸せそうに笑う
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