茜さす夏/
弓束
の頭を撫でる。そして髪の先端をくるくると指に巻きつけて弄ぶのだ。
わたしはその間、ずっと期待しているだけだ。心の中で愛しすぎる苦しみに悶え、言葉だけを待っている。
「嗚呼」
晴れ渡る空から、一滴、雨粒が落ちた。今日は天も泣いてくださるらしい。お天気雨が強く叩いた地面が、色を濃くしていく。そのうち雨によってこの土地に溜まった熱が抜き取られていく。
そしてようやく、夕方の影がわたしたちをさしていくのだろう。
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(椎名林檎さんの迷彩に感銘を受けて)
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