原点(公園の片隅の、)/倉持 雛
 
むかし、
いやなことがあったりすると
よく近所の公園の砂場に来た
 
いつも靴をぬいで
はだしになって
そっと 冷たい粒にふれた
 
ひんやりとして
きもちよくて
なんだか心が落ちついた
 
そのころは
砂になりたいと
本気で考えていた
 
それに なんだか
ぼくたちも
このさらさらの小さな粒から
できているような気がした
 
(アルケーは砂だと思った)
 
 
 
ここで
ぼくは育った
 
(心の発達)
 
つぶつぶが
ぼくのいやなこと
全部すいとって
優しさとか
強さとか
くれた
 
(気持ちの整理)
 
 
 
今でも たまに
来たくなる
 
(そうだ、プリンのカップ持っていこう)
 
 
 
公園の片隅の四角い砂場
ここは ぼくの原点
 
 
 
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