空中浮遊少年/青色銀河団
 
あれはインドを旅していたときのことだった。
ある村でマーケットに並んでいる親子3人が目に入った。
お父さんとおそらくその小さな息子二人だ。
目立っていたのは5歳くらいだろう小さいほうの男の子だった。
その子はズボンの膝から下がどうも何もなさそうだった。
事故か何かで両足を失ってしまったのだろう。
ところが彼はちゃんと足があるのと同じくらいまで
背が伸びたり縮んだりしていた。
宙に浮いていたのだ。
どうやら足を失うのと引き換えに彼は空中浮遊の技術を
手にいれているようだった。

わたしが身振り手振りで「すごいねえ」と感心して見せると
その少年は得意げになってヒュンヒュンとて
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