窓際にて雨は降り走る君/鯨 勇魚
 



  朝露の潤んだ瞳
  嘘ではないこの時を渡り

  遠浅の君の素振りに

  これまでの痛みを
  眠らせたかったあたし

  一花涙に浮び
  まとった波紋心の
  トビラを叩いたのは
  誰でもなく瞳

  どうぞ
  好きなだけ
  泣いていいよ

  ちからいっぱい
  のばした君のてが
  とどきそうで
  
  君の心がとどかない

  溢れだした感情は波打ち
  最後に君が見せる笑顔を待つ季節
  雨は降りつづくから
  あのユラメキ
  陽炎も消したんだ夏
  濡れたままの姿が
  
  乾かない心も知ってい
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