まちのいろ/
 

よくわからない
というのは
いつもの印象


入ったホテルは壁が薄く
知らない誰かとの距離が曖昧になる
顔を合わせるには
窓と窓のあいだに敷かれたボーダーラインがこわい


だけれど
ここでもいちにちがながれていく

夜だけが密度をまして
すべては混乱のためだけに包まれていく
あまりにも自然に


この街で生きていくには
酷い速さで大人にならなければ、ならない

そういう気がする

とうに街の人になった友人が
方言をのせた色で嗤った
言葉だ
うっすら、と、反芻


あの人が故郷を覚えていられないように
そんな速さで
街はわたしにも染みるのだろうか
簡単に、覚えていられないほどに


かなしさもうれしさも混じらず
ただ
ただ
こうやって
こぼれていくものの正体がわからないまま

密度を増した街
呑み込まれたら

あすがなくなる感覚に触れる

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