髭剃り いろんな人間の平日/ねろ
しちっとも驚けたりな
煙草の煙がやけにきれいに見えるから困っている
街はまるで箱庭のように僕らをいつも飼いならす
顔に手の甲あてて「まるで辟易している」のポーズ
(ちっとも終わりなんか来ないのを知ってたの?)
終わるように、浮遊するように、消えながら生きていく
それくらいしか僕に出来ることはなにも無い
たくさんのドアの向こう側にたくさんの人が居て
僕は僕を背負いながらそのドアのひとつひとつをノックする
(瞳孔が腫れあがってから僕はまるで何も見えなくなってしまったんだ)
誰の顔が誰であるのか僕は忘れてしまった
紅茶を飲み続けたけれど砂糖を忘れていた様なもので
お前って言う言い方をされるときに床に転げて笑い出したくなる時と似てるんだ
(僕はいつものびすぎた髭を剃る時にはキリンになる方法論を考えている)
いつでも靴を飛ばそうと思って足まで飛ばしてしまう僕を
彼女はきっと何も分からない人だと思っている
(飛んでいった僕の足は明け方の冷たいアスファルトの上を歩いて
昨日の夜を連れて家へと帰ってくる)
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