縮尺/チグトセ
それぞれには帰りたい場所というものがあった
所属欲だ
僕と君は何故か駅で別れた
君は東京へ向かった
東京とは、夢の中に出てくる場所、のイデアを
指す、幻の国の名、ではないのかと
僕は呟く
君はそこへ住みたいらしいのだった
そこに会社があるとかいうことだった
(何の会社だろうか)
僕は神戸へ向かった
バイバイ
別れ際の君は笑顔の歯だ
どのみち
僕もなるべく眩しそうな三日月の視界だ
がらんどうの特急電車は
何から何まで、やけに親切で
車掌のアナウンスは切ない
長いこと通ったのは真空管のような場所で
僕が立ったのは、やはり神戸、
僕が所属を始めた街だっ
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