クローバー/優羽
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目覚めたとき、そこは閉鎖的な暗闇だった。この嘴でつつけばいいということは本能でわかった。しかし、新しい世界への不安、未知への恐怖がそれを拒んでいた。どんなことが待っているかわからない。それは幸福かもしれないし、不幸かもしれない。だがこのままここにいる方が恐ろしく、寂しいことだと気づき、私は私を包み込む殻を恐る恐るつついた――。
目の前に広がった景色は、見覚えのあるものだった。小川のせせらぎがのどかさを象徴しているようなこの場所は……。間違いない、あの人との約束の場所だ。辺りを見渡したが、誰の姿もない。小さなため息をついた。しかし、たどり着いた。ついにここへ来た。私はそのことが嬉しくて
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