夏葬/Allegro assai/
紅魚
沙華です。
果てなく見渡せる砂埃の路、
笑いながら駆けてゆく少年らの
白いシャツの背の、幻影。
野辺送り、
夢の、葬送。
骨色の月が
からりと砕けそうな頼りなさで見下ろしています。
鳥居抜けた先の、先、
潮騒。
小さな小さな砂浜の温くみが呼んでいる。
それだけが、
微かな夏の名残です。
大切に、大切に、
膝ついて掬う、砂。
さわさわと指の間、
風が流すから、
さようならです。
さよなら。
秋、ですね。
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