夏葬/Allegro assai/紅魚
 

心なしか頼りない日差し
見上げる視界の右片隅、
夏に覚えた眩暈が
いつまでも居座る気配です。
鳩が不格好に歩く石畳、
高い高い螺旋の、
廻る、空
に、墜落する飛行機雲。

始まりと終わりの獣に出会いました。
彼らは番人です。
ねぇ、半端は不可ない、
通さないよ、
と、
何故か酷く優しい声音。
四つの眸が、
見せよ、と。
髪留め外して一礼。
証と言うなら、この黒髪、を。
通りゃんせ、通りゃんせ、
行きは佳い佳い、帰りは、
帰りは、

帰り、は。


鳥居の向こうに
夢は、居ました。
常夜の王国。
卵の色した光が満ちています。
揺れて溢
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