武士の惑星/シリ・カゲル
 
あけすけな武士たちが白い地表を彷徨う
みなヨツンバイになって
互いのたまごっちを通信させながら
油断のならない褌をケチャップに浸していく

交差点から交差点へと
武士たちはフラボノイドを過剰に摂取する
それはたまごっちが欲情するせいなのだが
彼らの傾倒する蘭学の指南書には載っていない

グランドキャニオンの底では
別の武士たちが集団生活を送っている
「原始、女性は太陽であった」
の教えを今でも忠実に守っている

大奥にベビーブームが訪れる
乳飲み子の数とミルクの瓶が反比例する
あけすけな武士たちはもう何もかも嫌になって
公園でたまごっちをいじり続けている。
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