地球の生活/佐々宝砂
今さらながら驚いてしまうのだけど
あなたはまだ生きているのだった
毎日とんでもない数の人が死んでゆくというのに
あなたより年若いバカが自殺するというのに
あなたが死んだという連絡はまだ入らない
だからたぶんあなたは生きているだろう
という希望なのか絶望なのか判別しがたい推測をもとに
私は今日も死人の声を聴いている
エドガーはアル中だったので
死人の声が好きじゃなかったらしいが
私はあいにくと毎日素面で暮らしているのだ
酒抜きヤク抜きただし音楽だけは抜けなくて
死人の声がいつまでも響いている
あと何億年だか経ったら
何十億年だったかもしれないけど
まあ細かいことは言いっ
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