夜はゆっくりと老けていった/楢山孝介
ぽっちゃりな朝を抱いていた
ムキムキの昼に抱かれてた
真っ赤な夕方に怒られた
抱き抱かれ怒られて性欲は薄れてしまったので
夜とは一晩中語り明かした
他愛もない話だった
どうでもいい話だった
結局途中からほとんどエロい話になった
そうこうしているうちに
夜はゆっくりと老けていった
じわじわと皺が増え始め
その裂け目から光が漏れだしてきて
曲がってきた背中の向こうに太陽が見え隠れし始めた
一晩しかない夜の命を
一晩のエロ話に費やさせてしまった
すまなかったと謝ると
夜はどうして謝られるのかわからないといった様子で
エロい話は楽しかったと言ってくれた
陽光にやられて消えていく夜を
抱きしめてやるも時既に遅く
何も出来ないまま夜は消えていった
悲しかったり眠くなったりしたけれど
とりあえずまた
ぽっちゃりな朝を抱いてみた
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