特別な日/キヨカパパ
いつか寺院で見た 生け贄の山羊のようには 悲しみは私を殺さないから
汚れやすい白く甘い菓子を 両手一杯に掬う
死者が出そうな陽射と気温の中 恐らく理不尽に叱責されていた少女は
その破れ汚れた布のまま もう男に買われただろうか
騒がしい雨音のせいで お前の最期の音は聞こえなかった
54時間前から引き篭りっきりで 起きてる間中 不安を抱いては様子を見に行く
まだ大丈夫 尻尾が動いてる ほら 耳を動かした
確実に衰弱していくのに 私は何も受け入れられなかった
柔らかな鐘の音が波のようにうねり それは途切れることがない
重ねられる祈りの言葉の意味は解らなくても それが心
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