夕立/山中 烏流
夕べ目を開けたら
水溜まりが出来ていて
手で掬って
口に含んでみたけど
酸っぱくはなかった
広がる波紋は
限り無く優しい
広がる雲は
限り無く冷たい
今日は月が
泣くための夜
雲がいたずらをする前に
カーテンをしめて
そっと見ないふり
静けさを踏破する
哀しみの連鎖が
心に木霊して
声を荒げていく
「あぁ、君も、そんなに」
「泣きたかったの」
哀しみの連鎖は
まだ
(鳴り)やまない
荒々しく
木霊するその中で
何故か、優しい風が
吹いた
気が、した。
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