朝/紅魚
 
ち、
釦、羽衣、指先、
お魚。
(やだよ、やだ、やだ、)
だめ、なんて、
かじるよりかじられるほうが甘いこと、
気付いてしまった。
そんなのって、狡い。

りんごの匂いにごまかされそうです、
時計が刻む流水は澱まないって。
空は未だ明け切らなくて、
やっぱりきみは、眠そうで。
(ああ、あ。
また、寝ちゃった、の、ね)
小さな四角にきみ閉じ込めて、
時間停めた、つもり、
にて、満足の、つもり。
きみの隣にもぐりこむ、しあわせ。
ためいき。

りんご甘そうで、
りんご甘そうで、
甘そう、で。
俯せ、
はらぺこ
はだかんぼ、
はんぶんこ。
きみの肩
[次のページ]
戻る   Point(4)