痛み。/渕崎。
生きている実感って、
なんだろうなぁ、なんて考えてみて、
堂々巡りの思考を辿って
回答を弾き出せたことは、
いまだかつて一度たりとてありはしない。
うすぼんやりとした膜の内側にいる自分と、
膜に蔽われた自分の外側にいる他人と、
もう過ぎ去った昨日と、
九割九部九厘確実にやってくる未来と、
その狭間で漂っているわたしに、
明確な「生きている」証を提示するのが、
自分の身体が発する痛みだけだなんて、
皮肉みたいだ、
なんて内側から鈍く痛む身体を抱えながら、
そんなことを思う。
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