うた/チグトセ
 



ただ、空ばかりが暗い

照明ばかりが明るい

そこだけ白くて

他は黒い



朝、目を覚ますたびに泣いた、と君は言った
僕はその言葉を重んじてうなずいた



ベンチにはゴミが溜まっていて

僕たちは座るのを避けた

閑散とした駅前広場は

どこか威圧的な匂い



海岸公園へとくだった
静かな風を浴びて
君は落ち着いた



静かな

うたをうたう

君の声の調子に合わせて

同じ旋律で

同じ抑揚で

同じメロディーで




不安から、覗きこんだ哀しみの中身
そこには君がうずくまっていた




また続きをうたいながら

せめて

君のあったかな日溜まりに

メロディーが流れていればいいのにと思い





うたをうたう





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