傷跡/ロリータ℃。
薄暗いオレンジ色の照明の下
グラスについた水滴のように
あなたの瞳は涼しげだった
私はそれに見惚れながら
琥珀色の甘い酒を飲んでいた
恥を知らぬ赤子のような無邪気さで。
長い指がなめらかに太股を滑り
私の吐息は露となって
あなたの瞳をさらに濡らす
どうにでもしてという言葉は
どうでもいいと同義語だった
愛されるために愛したかったわけではないのに
どうしてだか孤独だった
閉じ込められた兎みたいに
長い指は
私の首をなぞればいいのに
そしてそのまま締め上げて
深く暗い闇の底に
私を閉じ込めてしまえばいいのに
そんな願望を私は
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)