Poor Poet's Love Song/佐々宝砂
ぼくが冷たい雨に濡れて走っていたとき
きみはあいつと酒を飲んでいた
ぼくが金策にかけずり回って
もう電話する相手もなくなって
ガス欠寸前の車内で携帯電話と格闘していたとき
きみはやっぱりあいつと酒を飲んでいた
金のことをどうこう言いたくはないが
きみの酒代の出所はぼくの財布だ
あいつから出ることももちろんあるよ
それは知ってる
あいつがぼくより金持ちだってこともね
きみがお金のかかるバカだってこともわかってたが
これほどとは思わなかったし
残念ながらない袖は振れない
ちぎれるほど振っちまったので
もうこれ以上振れないんだ
だからぼくはぼくにできることをする
あいつ
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