最後の一億総詩人化計画/I.Yamaguchi
 
商店街の中に響く歌は歌詞の抜け落ちたサイン波ばかり、
バスの中で聞くイヤホンの音漏れからはバスドラの四つ打ちだけがこぼれおちる。

テレビをつけると、ガキの言葉がテロップに載って繰り返され、
一瞬遅れて笑いに乗り込む俺がいる。

世界中の詩人はすでに無限に敗れ去り、
そしてまたひとつ黒星をつけようとしている。

読まれるための抒情詩は敗れ去った。
どんな小路もひっきりなしに車の通る危険な道と言い切るカメラワークの前に道の上に宿った禍々しい偶然の神は電信柱の陰に隠れ、
百年の歴史を永遠にこじつけようとする愛国心の前に「個性」の個性が消え去った。

それは例えば血に染む十字架
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