九月童話/紅魚
根雲の流れの先端辺りに、
石の鳥居です。
砂糖の焼ける匂いがする。
それから、
ぷ、ぺん、という、
チャンポンの音色と、おはじきのざらり。
喧騒は聞こえない振り。
白い幟の並ぶ、
ずっとずっと向こう側、
門の先、が、還る場所だと確認して、
小さく小さく手を振りました。
さよなら、
さよなら、
また、後で。
まずは、
卵、を採取しなくては、なりません。
(あれは、あれも、くがつのおはなし、だったよね)
秋の原に出ました。
此処は、プ****海岸というのでしょう。
だって、
あの鯨座の下、
ο星が降りて来た先の揺れる燐光の中、
露湛えた菊花を抱え
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