ファミリーレストラン/チグトセ
 
6卓を一気に片付ける。あと洗浄器からあがったコーヒーカップの移動、ストローの補充。僕は心のなかで予定を復唱すると、小走りに新規のテーブルに駆けつけた

「ご注文のほうはお決まりでしょうか」
「あたしってねえ〜、基本的には好き嫌いのない人なんだけど〜、辛いものとかもねえ〜最近食べられるようになったしい〜」
「かしこまりました。それで、ご注文のほうはどう致しましょう」
「あ〜でもねえ、いまだにい〜、エビってあたし無理なのお〜。生きてるときの姿とか想像したら気持ち悪くってマジありえなくってえ」
「存じております。それで、ご注文のほうは」
「あ、ちょっと待ってて〜、着信〜。……あ、もしもしともこ〜?」

仕方がないので僕は向かいの男に話しかけた

「あの、ご注文のほうは……」
「ミサちゃんいま電話ちゅうだから!ちょっと待っててって言ってるでしょう!?」
「申し訳ございませんでした」

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