花、さようなら/小川 葉
 
道ばたに咲く美しい花を見て、
ああ、きれいね、
とだけ思えばいいのに、
なぜぼくはわざわざ、
その花をもぎとり、
家に持ち帰り、
花瓶にさし、
自分のものにしようとするのだろう。

そうすることで満足するぼくは、
少しだけ仕合せを感じるかもしれないが、
花の大きな仕合せは、
まったく無視している
ぼくの欲望というものは、
なんなのだろう。

やあ、はじめまして。
きみはきれいだね、
では、さようなら。

愛しききみよ、
さようなら。
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