[ 嗚咽 ]/渕崎。
、
痛みも悲しみも苦しみも消化されることなく、
自然の摂理を外れ、逆流する。
胃酸にまみれいっそう悲しさを増したそれらを
トイレの白い便器に吐き出し、
ようやっと涙を流すことを許される、
それは負の感情の過食嘔吐、
きりりきりりと悲鳴を上げる心のシグナル
けれど、誰も気づけない。
トイレの白い陶器は汚物だけを流し吸い取っていくのに、
感情だけは置いていくレバーが一本。
フォークもナイフもスプーンも、
トイレのレバーも、
彼女の感情の前には役に立たない。
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