[ 嗚咽 ]/渕崎。
彼女の言葉は静かな慟哭、
彼女の日記は静かな悲鳴、
突きつけられる、
突きつけられる、
ただ真っ直ぐにその痛みを、
想像するしかない痛みを、
痛みをフォークで突き刺して、
哀しみをスプーンで掬って、
苦しさをナイフで細切れにして、
悲鳴と一緒にその身体の内に全部飲み込む。
飲み込んで、
飲み込んで、
飲み込んで、
そっと吐き出す。
それは過食症の少女のように、
痛みを悲しみを苦しさを全て口内に含み、
ゆっくりと租借し、
押し込むように食道にねじ込み、
どろどろとした胃酸が波打つ胃の中へ。
けれど身体は全てを拒絶して、
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