朝のバス/山中 烏流
ストライプから
学生の香りがする、頃
私は意識を繋ぎ止めることに
必死になっている
目の前の
おもちゃの看板の意味を考えることに
全神経を集中させて
まどろんでいる
落ちては、いない
また一人
擦れ違った
紺色を揺らして
横を通り過ぎる
柑橘系の
良い、香りがして
少しだけ
(ほんの少しだけ)
意識が飛んでいく
夢心地の中
空を飛んでいる、ような
ふわふわした感覚
地に足は
多分、ついていない
唸りを上げて行く手を遮る
機械の断片でさえ
今なら
そう、今なら
乗り越えて行ける
まどろみ
夢心地
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