絆/川口 掌
なんも取り柄のないあたしと
ぜんぜん特別のないあんたが出会って
余りある 寂しさと
どこまでも続いていた 手持ち無沙汰に
いつしか
一つ屋根の下 暮らし始めた
特別 でないあたしたちは
二つ足しても
やっぱり 特別では無くて
二人で居れば
変わると思っていた 夢や理想
なんて物は 二人で居る時間が
長ければ 長いほど 色褪せてしまって
モノクロームの
ポートレートの中
なんにも
変わらない時間だけが
流れていくだけだった
二人にとっての特別は
静かに訪れた
いつのまに
ふくらんでいく
あたしの お腹
それから 小さな
とても
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