花瓶の花/鯨 勇魚
らなりとした中で
こまかしくありながら
本当はざわざわでした
あたしたちが揺れてまわる
涙なんてここにたくさんある
息荒くても
海をなぐさめていた季節に
ゆびさきだけでも繋ぐ言葉を
ほしいまま
泣きじゃくる窓をあけたら
帰る場所を忘れない
低い空がありました
たくさん在りすぎた窓際から見た
水溜りに映っていたのは
いつから故郷は
固定された場所ではなく
感情をもつ人となって
存命しているのでした
静かにしていれば
精神を包んでくれたのか
それとも
そこまでやさしくできないか
そう大地から離れてしまった茎
雨雲のように混ぜて
たくさんたくさ
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