クラウディ/渡邉建志
たらしく、西田幾多郎の話なんかしたそうで、「僕のばあちゃん幾多郎さんが家の前通るの何回も見たそうだよ」って言ったら喜んでくれた。幾多郎さんは散歩が好きで、哲学の道を弟子と散歩したりしたことから「哲学の道」っていう名前がついたんだけれど、哲学の道に上がるときの通路に僕のうちがあった。哲学の道にある石碑の話とかして、例の「われはわれひとはひとなり」の和歌の話でイタリア人と盛り上がってしまったよ。彼いわく、その和歌を知っている今まで会った最初の日本人だって言われた。いつも彼が教える立場なんだって。やっぱり日本のこと勉強してるイタリア人のほうが日本のことよく知ってたりするんだろうね。僕も偉そうなこと言って
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