通り雨/vi
 
すぐに止むことを知りながら
傘を求めに店へ走った
ううん、傘は口実にすぎない
漫画やドラマのように撃たれてみたかった
ヒロインになりたかったんだ
雨に混じって泣いてみたかった
あのヒロインのように
悲劇なんてさらさら日常にありはしないけれど
今だけそんな気分で居たいんだ
泣こうかと思ったとき
からりと雨がやみやがった
ちっと舌打ちして走るのをやめる
両手を空にかざしてみる
あのヒロインのように

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