プラットホーム・メランコリィvol.2/山中 烏流
パンプスが響く
深夜の改札で
あたしは一人
足音を弾ませている
空も泣きそうな
こんな日には
ビニール傘があるといい
半透明なら尚更
涙を
隠してくれるから
無人のホームで
泣き崩れる事だけは
我慢しなくては
ならない
嗚咽を消し去る為
わざと立てていた足音も
許さなくては
ならない
45分発の各駅停車で
あたしは
今日を昨日にする
するから
君は黙って
あたしを突き放して欲しい
でなければ
あたしはあたしを
許す事が出来ない
寂しいと
音を上げた事は
足音に混ぜて
棄てようと思う
だから
溢れんばかりの笑顔で
またね、と
またね、と。
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