数字地獄/黒猫館館長
 
たしは「6」が怖い。理由などない。
ただひたすら「6」が怖いのだ。小学生時代のわたし
は「6」という数字を日頃から見ないように努力していたぐらいである。

 さてこれらのわたしの恐怖は馬鹿げた思い込みなの
であろうか。しかしホテルや病院で必ず「4号室」を外すのはなぜなのか。
なぜ「13日の金曜日」という題名の映画が何度も封切られるのか。

 わたしには数字が神からのメッセージに思える。
それも善良な神ではない。
ギリシャ悲劇に登場するような不吉を告げる恐ろしい神である。


 わたしもまたいつもデジタル時計に怯えている。
も し「42」だったら、
もし「41」だったら厄災はこれから来るのか、
「43」だったら厄災はもう過ぎ去ったのか、
「44」だったらわたしは二度死ぬ運命なのか。

 デジタル時計に囲まれた生活でわたしはいつも怯えている。
異界から不吉を告げるメッセージが数字に託されて送信されてくるのではないのかと。


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