数字地獄/黒猫館館長
 
 戦後の前衛短歌界を塚本邦雄と共にリードした
歌人・寺山修司は第三歌集『田園に死す』(白玉書房)
のなかで「短歌」に対する「長歌」の試みを行っている。
その冒頭部分を書き出してみる。

 長歌 指導と忍従

 「無産の祖父は六十三 番地は四五九で死
  方より 風吹ききたる 仏町 電話を引
  けば一五六四 隣へゆけば 八八五六四
  庭に咲く花七四の八七」(22p)

 この引用部分での寺山修司は数字と文字をかけあわせている。

 例えば

 四五九=地獄&死後苦
 一五六四=人殺し
 八八五六四=母殺し

 という風である。

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