「春の日」 古典の宴投稿作/
月焦狼
今を盛りと咲き誇る
春の日差しに誘はれて
鬢の油とおしろいの
香りを纏ひて歩み行く
人にまぎれて二年坂
わずかに触れた指と指
ふと見上げれば高台寺
枝垂桜の薄紅を
映したやうな頬の色
ソフトをあげて会釈して
気付かぬままに歩み去る
絣の羽織が遠ざかり
只一陣の 風ぞ吹く
儚く舞い散る花吹雪
散らされたのは花ならで
貴方の為に装いし
悲しき私の恋ひごころ
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