初対面/
小川 葉
はじめて会った
気がしないのは
なぜだろう
やさしいまなざし
知っているのは
なぜだろう
話しながら左手を右手で
撫でる癖を知っているのは
なぜだろう
その手のぬくもりに
懐かしさをおぼえるのは
なぜだろう
部屋に飾ってある
花の名前を言えるのは
なぜだろう
寝顔をこっそり
スケッチした記憶
なぜだろう
さよならはいつも
消えるように突然
なぜだろう
なぜだろう
なぜだろうと
思い出せないまま
眠りにつく
今夜もまた夢の中で
会えるとも知らずに
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