老婆の休日/服部 剛
させた子供等に
布団をそっと被(かぶ)せた後
月の光の射す夜
狭い畳の部屋に正坐して
密かに奏でる三味の音(ね)が
たった一つの潤(うるお)いだった
「 昨日、戦場のピアニスト
っていう映画を見てね
廃墟の街で生き延びて
痩せ細ったピアニストが
敵の兵隊にみつかった時
埃を被ったピアノの鍵盤の上に
長い指を躍らせて
迫真の演奏を終えると
敵の兵隊は自分の上着を脱いで
( 寒いだろう )と
手にした銃をしまい
去っていって・・・ 」
手さげに長唄の楽譜を入
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