都会の夢/山中 烏流
 
今はもう
落ち着きを取り戻した
ネオンたちが
 
まだ 空を
侵食している
 
 
その事実を知っていても
 
僕は
何をする訳でもなく
 
36℃の体温と一緒に
ベッドへ潜る
深い 夜に沈む
 
 
夢の中では
 
僕はいつだって
勇者になれている
 
ネオンから空を取り戻す
お伽噺のような
勇者になれている
 
 
目を開けても
勇者になんかなれやしない
しないから
 
夜に沈んでいる
夢を見ている
 
見続けている
 
 
朝が来たとして
空が輝きを取り戻しても
 
夜が来れば
どうせあのネオンに
負けてしまうから
 
独り
夜に沈んでいる
甘えている
 
夢を見ている
 
 
夢は夢のままな事
 
ネオンに負けやしない
夜が在る事
 
目を開けないで
知りもしないまま
まだ 夜に
甘えている
 
 
夢を 見ている。
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