「旅人とオアシス」/広川 孝治
 

久しぶりの訪れに
かつて無いほど高らかに
歓喜の声で歌うのです

やがて男は満たされて
ほとりの柔草絨毯に
身を横たえて眠ります
鳥も静かに木の枝で
満ち足りたように眠ります
大きく姿をあらわした
月があたりを照らしてる
男の顔を白くそめ
泉の水をきらめかせ
休息のときを映します

それからついに朝が来て
男は空に見つけます
蜃気楼を見るのです
たどり着けぬと知りながら
それを見ると気もそぞろ
目指して行かずにおれません
男は旅へと出かけます
命の潤いをくれた
オアシスあとにするのです

砂漠の中にあるらしい
あるオアシスの物語
砂漠の中を旅してる
ある男性の物語
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