小春景色/チグトセ
 


昼寝でもしたくなるぽかぽか陽気だ
ぽかぽか陽気に抱かれた町で
電信柱の黒い毛に結ばれた商店街の
のんびりとしたアスファルト
のんびりとしたアスファルトの上で
サディストがマゾッホを扼殺し
春カラーの服を着た僕は
酒屋の二階の自分の部屋の
開け放した窓に腰掛けその光景を見物していた
やがて警察が到着し
花見のあいまに呼び出しくらって到着したので
体中に花びらが張り付いていた
大事な現場に花びらが
次々舞って落ちるので
鑑識は「ちょっとお、困りますよお」
と困ったように笑い
警察は「いやあ、ごめんねえ」
と頭を掻くと
また花びらがひらひら落ちる

ばっ
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